「コーン明(めい)」、3度生き、神の使いとなった伝説の狐。

最初に生を受けたのは、後漢の時代、仲間のけもの達だけでなく、人をもその策略にて惑わした。
その才を劉備に見出され、人の姿を保ちて「諸葛コーン明」を名乗り、丞相を務めたりした。
やがて、戦のうちに没した。

前世での北伐の地のあたりで、第2の生は始まった。
人々を惑わす噂を聞いたテムジンの一族の者が仲間に招き入れた。
また人の姿を模し、元朝の頃には「コーン明・カーン」と名乗っていた。
元寇にも同行し、その前世での経験から風による敗北も予想し進言したが受け入れられなかった。
人の姿をやめ、和邇(わに)を欺いたりして日本の本州に流れ着いた。
都を目指したとの噂である。

3度目は、争い事に嫌気が差し、その才をまわりのけものや里の人を喜ばす事に使った。
自らは立たぬが、しっかり寄り添い強かに生きる蔦を愛で、蔦のコーン明、その地の訛りでいうと「蔦んコーン明」と名乗ったが、若くして没した。

その死を強く哀しんだ人々が再生の意を込め木乃伊としたが、その地の稲荷神が使いのうちの1匹に迎え入れた。

諏訪の地に分かれた際、生前の彼の通り名を頂き、神社の名も蔦稲荷となったという話もある。

現在も子狐の姿で現れる。
明の和風の読みで「あき」を名乗ることも多く、彼が現れた際に通りの人々は「あき・なう」と呟いたりするのである。