病院から妻と共に連れ帰った物体は何なのだろうか? 
この、猿のようなもの 
私達夫婦の初めての子供の筈なのだが 
どう見たって、私達のどちらにも似ていない 
我が家を訪れた人々は、別々のことを言う 
目が、鼻が、口元が、私に、妻に、母に、義父に... 
やはり、二人の子供ではないのでは、という疑念は晴れない 
しかし、あの日あの病院で産まれた子供は只一人 
夫が医者で、妻が看護婦、それだけの小さな病院 
取り違えようがない 
妻が電話を取った 
何故子供を連れていかないのか、と怒っているとのこと 
では、この物体は...引き取って貰おう 
病院の扉を開ける 
患者は少ない 
受付で何かを書いていた奥さんが顔を上げる 
「あ、お義父さん」 
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