さて、物質伝送機についてである。 
今世紀最大の発明とされるこの機械は、転送機、電送機などとも言われる。 
現在では、生物の伝送も可能になり、交通手段としても使用されている。 
初期の段階では、ノイズが乗ったり、送信元の物質の解析不良、 
解析中のメモリーオーバーなどのハングアップ、 
などで伝送に失敗するケースが多かった。 
そのためか、 
画期的なチップの発明により、安価に、完璧な伝送が可能になった現在でも 
安全の為に、まず、送信元を残したまま送信先にコピーし、 
コピーが完全に行われた事を確認したのち、送信元を消去するものが大半になった。 
コピーから確認までを行うチップは安価に手に入るため、 
安物でも伝送は完璧なのだが、その後の処理で手を抜いているものも多数出回っている。 
筆者も、この連載のための調査、打合せ、で忙しく動いていて、 
今、山積みになった自分の屍体に気付いたのであった。 
まぁ、慌てることはない、最近では、そうした残留物の処理をする施設が多数ある。 
この原稿を伝送したら、しばらく休んで旅行に出ることになっているが、 
その時、施設に伝送しておく事にする。 
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